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企業における電気代値上げの原因とは?電気代の削減方法と併せて解説

電気代の値上げが続くなか、全社的な節電対策や省エネ設備の導入などで電気代削減に注力する企業が増えています。

2023年6月には、大手電力会社7社で電気料金の値上げが実施されました。

経費の圧迫化が懸念される企業では、現状の電気の使い方を見直すとともに、電力使用量を最適化する具体的な取り組みが求められます。

この記事では、企業における電気代値上げの原因や、電気代を削減する具体的な方法を解説します。


目次[非表示]

  1. 1.2023年6月から大手電力会社で電気代が値上げ
  2. 2.電気代が値上がりになる主な原因
    1. 2.1.①燃料価格の高騰
    2. 2.2.②日本国内における電力供給不足
    3. 2.3.③再エネ賦課金の上昇
  3. 3.企業における電気代の内訳
    1. 3.1.①基本料金
    2. 3.2.②電力量料金
    3. 3.3.③燃料費調整額
    4. 3.4.④再エネ賦課金
  4. 4.企業でできる電気代の値上げへの対策
    1. 4.1.①節電に取り組む
    2. 4.2.②省エネ設備を導入
    3. 4.3.③太陽光発電システムを導入する
    4. 4.4.④デマンド値を下げる
    5. 4.5.⑤電力会社・料金プランを見直す
  5. 5.まとめ


2023年6月から大手電力会社で電気代が値上げ

2023年4月、東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力が電気料金の値上げを発表しました。さらに同年6月には、東京電力と北海道電力も値上げを発表して話題を集めました。

大手電力会社が電気料金を値上げした背景には、世界的な燃料価格の高騰や円安などが影響していることを経済産業省資源エネルギー庁が発表しています。

ウクライナ侵略に伴う燃料価格高騰や円安の影響などを受け、大手電力7社から料金改定(値上げ)の申請があり、厳格な審査を行いました。

引用元:経済産業省資源エネルギー庁『電気料金の改定について(2023年6月実施)

2023年6月からの電気代値上げ率については、2022年11月と比較して『14%〜最大42%』に許容されていることがわかっています。


▼標準的なご家庭における電気料金の試算結果

画像引用元:経済産業省『標準的なご家庭における電気料金の試算結果


電気代が値上がりになる主な原因

2023年における電気代の値上がりの原因として、燃料価格の高騰や日本国内における電力供給不足などが挙げられます。それぞれの原因について詳しく解説します。


①燃料価格の高騰

新型コロナウィルス感染症の世界的な流行や、ロシア産エネルギーの輸入制限などが原因となり、電気料金の一部を占める燃料費調整額が高騰しています。

これに伴い、液化天然ガスや石炭による火力発電に頼っている日本は、燃料費調整額の影響をダイレクトに受ける形となりました

また、円安が進んで輸入コストが増加したことも電気代高騰の原因とされます。


②日本国内における電力供給不足

2010年以降、日本国内では電力供給不足の状況が続いています。その原因として挙げられるのが、原子力発電と火力発電の稼働の休止・停止です。

2011年に発生した東日本大震災によって、原子力発電所の稼働が停止しました。

さらに2016年の電力自由化によって、電気料金の競争が激化し、採算性が悪い火力発電の稼働休止・廃止が進みました。

このように、日本国内におけるエネルギーの供給元が減少したことで、国外からの燃料の輸入に頼らざるを得ない状況となっています。


③再エネ賦課金の上昇

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、太陽光・水力発電・風力発電などの再生可能エネルギーを普及させるために設けられた制度です。

再エネ賦課金の導入後、日本では産業用の太陽光発電所が増加しました。これに伴い、再エネ発電量も増加し、電気料金として請求される再エネ賦課金も上昇しています。



企業における電気代の内訳

ここからは、一般的な企業で請求される電気代の内訳をわかりやすく解説します。


①基本料金

電気代の基本料金とは、契約プランごとに固定された料金のことです。

電力会社によって、利用可能なアンペアに応じて基本料金が決まるケース、最低料金に電気使用量に応じて課金が発生するケースがあります。


②電力量料金

電力量料金とは、使用した電力量に比例して発生する料金のことです。1kWhを単位として単価が設定されており、単価×使用した電力量で電力量料金が算出されます。


③燃料費調整額

燃料費調整額とは、毎月の燃料費調整単価に当該月の使用電力量を乗算して算出される料金のことです。

燃料費調整単価は、原油・液化天然ガス(LNG)・石炭の燃料価格の変動に応じて、毎月自動的に決まる単価を指します。

燃料費調整額を当てはめた電力量料金の算出方法は、以下のとおりです。

電力量料金 =(電力量料金単価 × 使用電力量)± 燃料費調整額(燃料費調整単価 × 使用電力量)


④再エネ賦課金

再エネ賦課金は、一般的に電力供給業者や最終的な電力使用者に課せられる料金のことです。

再生可能エネルギーを電力会社が買い取る際、発生した費用の一部を電気の使用者が支払う義務があります。その際に発生した費用が再エネ賦課金にあたります。


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企業でできる電気代の値上げへの対策

電気代削減に向けて、企業で実践すべき節電対策や電力使用量を最適化する方法などを紹介します。


①節電に取り組む

企業のオフィスや事業所では、多岐にわたる設備・機器で節電対策を図れます。

一般的なオフィスビルの場合、電力消費量が特に大きい空調と照明から節電対策を進めるのが効果的です

例えば、空調のフィルターのこまめな掃除、LED照明への切り替え、OA機器のスリープモードの活用などで電力消費量を抑えられます。


②省エネ設備を導入

多くの電力を必要とする空調は、電気代の値上がりによる影響が大きい設備とされています。

省エネ設計の新しい空調設備への切り替えは、日頃の稼働における電力消費を抑えられるため、長期的な電気代の削減に有効な手段です。

また、空調は温度調整を1度〜2度変えるだけで節電できるため、普段の使用方法を見直す必要もあります。


③太陽光発電システムを導入する

法人向け自家消費型太陽光発電なら、必要な電力を自給自足して電気代を大きく抑えられます。

太陽光発電と蓄電池をセットで導入すれば、天候や時間帯の影響を受けず、蓄電した電気をいつでも使用可能です。

自家消費型太陽光発電の導入には大きな初期費用が必要となり、投資額をすべて回収するまで長い年月を要します。

そこで、国や自治体の補助金・税制優遇などを活用すれば、投資額の回収を早められます。


④デマンド値を下げる

デマンド値とは、1日を48回に分けて、30分ごとに消費された電力量(kW)を平均したものです。デマンド値の抑制は、電気代削減と直結します。

そのため、常時デマンド値を監視しながら、設定された値を超えないように警告・自動制御を行うデマンドコントローラーの導入が節電に有効です。

デマンドコントローラーによる最大デマンドの自動制御であれば、人的ミスも回避できます。


⑤電力会社・料金プランを見直す

節電や省エネ機器での電気代削減に限界を感じた場合、電力会社や料金プランの見直しも考慮すべきです。

2016年から始まった電気自由化により、現在は電力会社の選択肢が豊富に存在しています。

複数の電力会社から1社を選定する際は、まず自社で電力消費が特に大きい時間帯を特定する必要があります。

そして、その時間帯に電気を安く使用できる料金プランを選ぶことで電気代の削減が可能です。しかし、法人契約で電力会社を乗り換える際、選択肢が多数あり、手続きも複雑になります。

最適な節電プランを選択したい場合には、業界に精通した専門家に頼ることで悩みを解決できます。



まとめ

この記事では、企業における電気代値上げの原因と、電気代削減の方法について以下の内容で詳しく解説しました。

  • 電気代が値上がりになる主な原因
  • 企業における電気代の内訳
  • 企業でできる電気代値上げへの対策

近年における燃料価格の高騰や日本国内での電力供給不足を要因として、2023年6月から大手電力会社7社で電気料金の値上げが実施されました。

電気代高騰によって企業の経費が圧迫されるなか、単純な節電対策だけではなく、電力使用量の適切な管理・調整の必要性が高まってきています。

エネクラウドでは、設備・機器ごとに電気使用量を可視化するシステムの提供と、業界に精通したコンサルタントによるアドバイスが付帯した『電気管理クラウド』を提供しています。

電気使用量をリアルタイムで容易に可視化するとともに、適切なデマンド管理をサポートして省エネ活動のPDCAサイクルを回します。

専門家の知見とノウハウで電気代を削減する『電気管理クラウド』に興味のある企業様は、ぜひこの機会にサービスの魅力がわかる資料を無料でダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

  お問い合わせ|エネクラウド株式会社 エネクラウドのクラウドシリーズ(電気削減クラウド・電気管理クラウド)に関するお問い合わせは当ページより承ります。 エネクラウド株式会社


マーケティング部 部長 橋詰 慎一郎 
マーケティング部 部長 橋詰 慎一郎 
マーケティング組織の立ち上げから戦略立案・施策実行まで全ての領域を担当。BtoC、BtoBを問わず複数の業界でマーケティングに携わること20年。電気・電力の業界におけるマーケティングの推進をすべく2021年にエネクラウドに入社。

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