
コンプレッサーの電気代はどのくらい? 工場の消費電力を抑える運用方法とは
製造工場に欠かせない「コンプレッサー」は、消費電力が大きい生産機器です。吐出圧力が高かったりエア漏れが発生していたりすると、1ヶ月の電気代が高額になりやすい傾向にあります。
モーターを使って空気を圧縮するという仕組み上、ある程度の電力消費は避けられませんが、運用の工夫次第で電気代の高騰は防ぐことが可能です。
この記事では、コンプレッサーの消費電力とともに、電気代の目安や削減方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.工場の消費電力の内訳|コンプレッサーは何%を占めている?
- 2.コンプレッサーの電気代は?計算式とモーター出力別の目安
- 3.工場の電気代が高騰!コンプレッサーに潜む原因とその対処法
- 3.1.吐出圧力が高い
- 3.2.吸込温度(工場内の温度)が高い
- 3.3.エア漏れしている
- 3.4.フィルターが目詰まりしている
- 3.5.コンプレッサーの台数が多い
- 4.まとめ
工場の消費電力の内訳|コンプレッサーは何%を占めている?
工場の消費電力のうち、コンプレッサーが占める割合はどれくらいなのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
経済産業省 資源エネルギー庁の『夏季の省エネ・節電メニュー』によると、製造業における消費電力の内訳では、コンプレッサーを含む生産設備が全体の80%以上を占める結果となっています。
「一般的な製造工場では、全体の消費電力の20〜30%をコンプレッサーが占める」というデータもあることから、コンプレッサーが電気代に与える影響は大きく、使い方によっては大きなコスト負担につながる可能性があります。
ただし、コンプレッサーの消費電力は工夫次第で抑えることが可能です。20〜30%はあくまで目安のため、これよりも下げることで電気代を削減できます。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『夏季の省エネ・節電メニュー』
コンプレッサーの電気代は?計算式とモーター出力別の目安
コンプレッサーの電気代(1時間当たりの目安)は、以下の計算式でおおまかに算出できます。
モーター出力[kW]× 電気代単価[円/kWh]÷ モーター効率[%](※1) |
例えば、モーター出力が55kW、モーター効率が90%のコンプレッサーを使用しており、電気代単価が30円/kWhだとすると、1時間当たり最大1,800円ほどの電気代がかかります。1日8時間稼働・週休2日の場合、1ヶ月当たりの電気代は29万円ほどと高額になります。
以下は、コンプレッサーのモーター出力別に見る電気代の目安です。同じモーター効率でも、モーター出力が変われば電気代も変動します。
▼モーター出力別の電気代の目安(※2)
モーター出力 |
1時間当たりの
電気代
|
1日当たりの
電気代
|
1ヶ月当たりの
電気代
|
11kW |
360円 |
2,880円 |
57,600円 |
37kW |
1,200円 |
9,600円 |
192,000円 |
75kW |
2,500円 |
20,000円 |
400,000円 |
コンプレッサーの使用状況や負荷によっても電気代は変わるため、上記はあくまでも目安ですが、「モーター出力が大きいコンプレッサーの使用を控える」「コンプレッサーのモーター出力を見直す」などの工夫で電気代の削減が図れます。
※1・・・電気代の目安を算出する計算式です。稼働率や負荷率など、実際の使用状況によって電気代は異なります。
※2・・・モーター効率は90%、電気代単価は30円/kWhで統一。電気代の目安は端数を処理しています。
工場の電気代が高騰!コンプレッサーに潜む原因とその対処法
工場の電気代が高騰している場合、その原因がコンプレッサーに潜んでいる可能性があります。使い方次第ではコンプレッサーの消費電力を余分に増やしていたり、必要以上に負荷をかけていたりすることがあるため、このタイミングで見直してみることをおすすめします。
吐出圧力が高い
吐出圧力とは、コンプレッサーが空気を圧縮する際に発生する圧力のことです。吐出圧力が高いとコンプレッサーに大きな負荷がかかり、消費電力が上昇して電気代が高くなります。そのため、吐出圧力は用途にあわせて下げることが重要です。
なお、コンプレッサーの種類や使用年数によって変動しますが、吐出圧力を0.1MPa下げると電力消費量を4〜5%ほど削減できるといわれています。
吸込温度(工場内の温度)が高い
コンプレッサーの吸込温度が高いと余分な負荷がかかり、消費電力が上昇します。吸込温度はすなわち「工場内の温度」であることから、高温多湿な環境下で作業している場合、電気代が高くなる傾向があります。
そのため、電気代を削減するにはコンプレッサーの吸込温度が低くなるよう、工場内の温度管理を徹底することが重要です。
一般的に吸込温度を10℃下げると省エネ効果があるといわれており、実際に「35℃から25℃に下げたらコンプレッサーの運転効率が改善された」というデータもあります。工場内の温度管理や換気の工夫など、吸込温度を下げる環境づくりは電気代の削減に寄与する有効な手段かもしれません。
エア漏れしている
コンプレッサーは配管が長く接続箇所が多いため、エア漏れを引き起こしやすい設備です。もし「シュー」と音がする場合はエア漏れしている可能性が高く、それが原因で必要以上の電力を消費し、電気代が高くなっていることが考えられます。
そのため、少しでもエア漏れの可能性を感じたら早急に修理することが重要です。また、定期的に点検やメンテナンスを行ってエア漏れを防ぐことも、電気代の削減につながります。
フィルターが目詰まりしている
フィルターが目詰まりしていると吸気効率が低下して、コンプレッサーに余分な負荷がかかり、電気代が高くなってしまいます。また、オイルクーラーやチラーが十分に冷却されず、オーバーヒートを引き起こす可能性もゼロではありません。
電気代を削減しながらオーバーヒートを防ぐためには、フィルターをこまめに掃除する必要があります。
コンプレッサーの台数が多い
コンプレッサーの台数が多いと、その分電気代もかさみます。無駄な電力消費を避けるためにも、台数は必要最小限に抑えることが重要です。
また、台数制御装置を導入するのも一案です。コンプレッサーの運転台数を自動で必要最小限に制御してくれるため、手間なく省エネ化を図れます。
まとめ
この記事では、コンプレッサーの電気代の目安や削減方法について以下の内容を解説しました。
- 工場の消費電力の80%以上を生産設備が占めており、そのうち20〜30%もの電力をコンプレッサーが消費している
- 例えば、モーター出力が55kW、モーター効率が90%、電気代単価が30円/kWhの場合、1時間当たり最大1,800円ほどの電気代がかかる
- コンプレッサーの消費電力を抑え、電気代の高騰を防ぐには「吐出圧力を下げる」「吸込温度を下げる」「エア漏れを防ぐ」「フィルターをこまめに掃除する」「コンプレッサーの台数を必要最小限に抑える」といったポイントを押さえることが重要
生産設備のひとつであるコンプレッサーは、消費電力が大きいことから、電気代を左右する要素のひとつといえます。場合によっては消費電力を余分に増やしていることもあるため、今回ご紹介したポイントを基に使い方を見直してみることをおすすめします。そうすることで、電力消費量を適正値に抑えられ、電気代の高騰を防ぎやすくなります。
あわせて、電気の使用状況を見える化したり、契約プランを見直したりすることでも電気代を削減することが可能です。
そこでご紹介したいのが『エネクラウド』のクラウドシリーズサービスです。電気の使用状況を見える化して省エネをサポートする『電気管理クラウド』と、最適な電気料金プランの選定から契約までを総合的にサポートする『電気削減クラウド』の2種類があり、どちらも電気代の削減を支援するサービスとなっています。この機会にぜひ利用をご検討ください。
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