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キュービクルの設置基準を知ろう!具体的な法的要件や安全基準


高圧電力を扱う重要な設備であるキュービクルは、適切な設置と管理が不可欠です。キュービクルの設置基準について詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、キュービクルの設置基準について詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.キュービクルの基本知識と設置の必要性
    1. 1.1.キュービクルとは
    2. 1.2.キュービクル設置の必要性
  2. 2.キュービクル設置に関する法的要件
    1. 2.1.電気事業法における規定
    2. 2.2.消防法と建築基準法の要求事項
    3. 2.3.必要な届出と手続き
  3. 3.キュービクルの設置場所と基準
    1. 3.1.屋内設置の基準
    2. 3.2.屋外設置の基準
    3. 3.3.特殊環境(沿岸部、高層ビルなど)での設置基準
  4. 4.キュービクルの構造と安全基準
    1. 4.1.キュービクルの基本構造
    2. 4.2.防火・防災対策
    3. 4.3.耐震性能の確保
  5. 5.まとめ


キュービクルの基本知識と設置の必要性

キュービクルは、企業が高圧電力を使用する際に必要となる設備です。ここでは、キュービクルの基本と設置の必要性について詳しく解説します。

キュービクルとは

キュービクルは、高圧電力を受電し低圧に変換して建物内に供給する受電設備です。この設備は、金属製の箱の中に遮断器、変圧器、制御装置などの機器を収納しています。

キュービクルの主な役割は、電力の安定供給と安全性の確保です。高圧電力を扱うため、感電や火災のリスクを最小限に抑える設計になっています。

また、コンパクトな構造により、限られたスペースでの設置が可能となっています。

キュービクル設置の必要性

キュービクルの設置は、大規模な商業施設、工場、学校、オフィスビルなどの通常50kW以上の電力需要がある施設や高圧受電が必要な場合に必要となります。

キュービクルを設置することで、安全性の確保、効率的な電力管理、法規制の遵守が可能になります。また、電力品質の管理や防災・防火対策の観点からも、キュービクルの設置は不可欠です。


キュービクル設置に関する法的要件

キュービクルの設置には、さまざまな法的要件が関係しています。ここでは、キュービクル設置に関する法的要件について詳しく解説します。

電気事業法における規定

電気事業法第42条・43条』では、キュービクルを自家用電気工作物として規定しています。

▼電気事業法第42条・43条

第四十二条事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。以下この款において同じ。)を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第五十一条第一項又は第五十二条第一項の自主検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、主務大臣に届け出なければならない。
2事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。
3主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。
4事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。
(主任技術者)
第四十三条事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
2自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。)を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。
3事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
4主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
5事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

参考元:e-eov 電気事業法

この法律に基づき、キュービクルの所有者には設備の維持管理や技術基準の適合維持が求められます

事業用電気工作物の維持・技術基準適合維持、安全規定の制定・届出及び遵守、主任技術者の選任・届出などの遵守が不可欠です。

これらの規定を遵守することで、キュービクルの安全な運用と電力の安定供給が確保されます。

消防法と建築基準法の要求事項

消防法施行規則12条4項』や『消防庁告示第七号』では、キュービクルの設置に関する火災予防上の基準が定められています。

▼消防法施行規則12条4項

四 屋内消火栓設備の非常電源は、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備(法第十七条の二の五第二項第四号に規定する特定防火対象物(以下「特定防火対象物」という。)で、延べ面積が千平方メートル以上のもの(第十三条第一項第二号に規定する小規模特定用途複合防火対象物を除く。)にあつては、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備)によるものとし、次のイからホまでに定めるところによること。
参考元:e-eov 消防法施行規則

建物からの離隔距離や防火対策が要求されており、基準を満たすことで火災リスクの低減することが可能です。

また、『建築基準法32条』ではキュービクルを電気設備として扱い、安全性と防火に関する規定が設けられています。

▼建築基準法32条

第三十二条建築物の電気設備は、法律又はこれに基く命令の規定で電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法によつて設けなければならない。

参考元:e-eov 建築基準法

これらの法律に準拠することで、キュービクルの設置における安全性が確保されます。

必要な届出と手続き

キュービクルの設置には、複数の届出が必要です。

主な届出には、主任技術者の選任届、主任技術者専任許可申請書、主任技術者兼任承認申請書、保安規定届出書などがあります

これらの手続きは法律で定められており、適切に行わないと法律違反となる可能性があります。特に、電気主任技術者の選任は重要で、キュービクルの維持・管理には不可欠です。


キュービクルの設置場所と基準

キュービクルの設置場所によって、適用される基準が異なります。ここでは、キュービクルの設置場所と基準について詳しく解説します。

屋内設置の基準

屋内にキュービクルを設置する場合、特定の離隔距離を確保する必要があります。

操作を行う面からは1.0m以上(扉幅が1m未満の場合は1m)に加えて保安上有効な距離、点検を行う面からは0.6m以上、換気口のある面からは0.2m以上の距離を確保しなければなりません

これらの基準を満たすことで、安全な操作と点検が可能となり、火災リスクも低減されます。

屋外設置の基準

屋外にキュービクルを設置する場合も、一般的に建物から3m以上の距離を確保する必要があります。屋外設置の場合は、十分なスペースのある場所を選定することが重要です。

ただし、認定キュービクルの場合は1m以上に緩和される場合があります

また、防水・防塵対策も必要となり、IP43以上の防水・防塵性能を持つキュービクルを選択する必要があります。

特殊環境(沿岸部、高層ビルなど)での設置基準

特殊な環境でキュービクルを設置する場合、追加の対策が必要となります。

沿岸部では塩害対策として特殊な塗装や材料の使用が求められており、高層ビルでは重量制限を考慮し、H鋼基礎を使用するなどの対策が必要です。

また、結露防止のために天井材に断熱材を充填したり、盤内にスペースヒーターを設置したりすることも重要です。

これらの対策により、特殊環境下でもキュービクルの安全性と耐久性が確保されます。


キュービクルの構造と安全基準

キュービクルの構造と安全基準を理解することは、適切な設置と運用のために重要です。ここでは、キュービクルの構造と安全基準について詳しく解説します。

キュービクルの基本構造

キュービクルは、高圧受電設備、変圧器、配電盤などを金属製の箱に収納した構造となっています。

主に受電箱と配電箱に分かれており、受電箱には主遮断器などが、配電箱には変圧器や高圧配電盤、コンデンサなどが配置されています。

この閉鎖型の構造により、感電や機器の破損のリスクが低減される仕組みです。

防火・防災対策

キュービクルを設置する際は、防火壁や耐火材の使用、消火設備の設置などが必要です。

特に、認定キュービクルの場合は厳しい基準をクリアし、非常用電源専用受電設備や自家発電設備、蓄電池設備を備えていることが要求されます。

これらの対策により、火災発生時のリスクが大幅に軽減されます。

耐震性能の確保

キュービクルの設置には地震に対する十分な耐性が求められます。基礎の設計や機器の固定方法など、耐震性能を確保するためのさまざまな対策が必要です。

一般的にコンクリート基礎が使用されますが、屋上など重量制限がある場所では、H鋼基礎を使用することもあります。

また、内部機器の固定や配線の余裕度確保なども重要な耐震対策となります

これらの対策により、地震時でもキュービクルの機能が維持され、電力供給の安定性を確保することが可能です。


まとめ

この記事では、キュービクルの設置基準について以下の内容で解説しました。

  • キュービクルの基本と設置の必要性
  • キュービクル設置に関する法的要件
  • キュービクルの設置と基準

キュービクルの設置基準は、安全性と法令遵守の観点から非常に重要です。

電気事業法、消防法、建築基準法などの法的要件を満たし、適切な設置場所の選定と基準の遵守が求められます。

屋内外の設置基準、特殊環境での対応、さらには防火・防災対策や耐震性能の確保など、多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

これらの基準を適切に満たすことで、キュービクルの安全な運用が可能となり、電力供給の安定性が確保されます。

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マーケティング部 部長 橋詰 慎一郎 
マーケティング部 部長 橋詰 慎一郎 
マーケティング組織の立ち上げから戦略立案・施策実行まで全ての領域を担当。BtoC、BtoBを問わず複数の業界でマーケティングに携わること20年。電気・電力の業界におけるマーケティングの推進をすべく2021年にエネクラウドに入社。